脱力で何かが「落ちる」

黐手

肩の力が抜けてくると、肩から腕が「スコン!」と抜けたような感覚が得られるようになってきます。上腕を支える筋肉群(ローテーターカフ)のうち、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋などが上腕の重みで下に引っ張られる(ストレッチされる)ような感覚です。

さらに上半身と腹のチカラが抜けると、臍下丹田のところで書いたように、何かがストンと腹の底に落ちるような感じがします。個人的には肩よりもこちらのほうが先に感覚をつかみやすかったかな。

必要な姿勢を保つのに必要な筋肉の緊張を極限まで抜くというのは、今まで使ってこられなかった筋肉の存在を明らかにする上で重要なステップなのですね。最初は意味が分からなかったけれども、小念頭の定期的な練習がどれほど重要なことなのか、習ってから何十年も経過して分かってきた感じです。

同時に、高校時代のなんの意味があるのかさっぱり分からなかった、剛柔流空手道の三戦についても同様の感覚が得られるようになってきて、撃砕とか十八とか形に含まれていた攻防についても、もしかしたらほぼそのまま使えるのではないかとか思えてきました。

もちろん、脚の筋肉の使い方や感覚を意識的に練っていく三戦の立ち方と、自然にチカラを抜いた結果発生する筋肉の張力を利用する小念頭の立ち方は、練習法としては異なりました。でも、練習過程が異なるものの、行き着く先は似たものではないのかな…という気はしています。

このような感覚というのは、みなさんおっしゃっていますけど、他の人に伝えるのが難しいですね。「肩が脱臼するかもしれないと思えるくらい落とすんだ」とは説明されていても、どうやったらそうなるのか、どういうフィードバック(体感覚)を得られたら正解なのか、最終的には自分で見つけて行くしかなさそうです。自分の感覚は先述の通り、腕の重みでローテーターカフが引っ張られている感じです。

ただ、次の段階では脱力によって明らかになった筋群の効率的な使い方を研究していく必要があります。剛柔流の師範にしても、詠春拳の先生にしても、単に「脱力」して得られた腕の重さ、体の重さだけでは説明できない強大な「チカラ」がありましたから。

黐手
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