ブルース・リー道場のバックヤード

目次

1980年代のブルース・リーイベントでVHSビデオを買う

その昔、ブルース・リー関連イベントを風間健先生が開催されたことがあり、友人の1人と参加したことがありました。確か、このときは風間先生の会社が作った截拳道の入門ビデオのお披露目会みたいなイベントだったと思います。そのときの私と友人は、風間先生のビデオ、というよりゲストで来られていた長江国政先生や藤原敏男先生にお目にかかるのが第1の目的だったと思います。

この日、メインイベントで風間先生の新作ビデオが流れるんですけど、截拳道というよりキックボクシングとアメリカンフルコンタクト空手のミックスみたいなスタイルで独特でした。実際、風間先生は截拳道は習っていないでしょうし、私たちもまあ、「そんなモノだろう」くらいな感じです。ただ、風間先生の技の紹介の合間に挿入されるブルース・リーのサンドバッグ打ちやキッキングシールドへのサイドキックが圧巻でした。

私と一緒に行った友人は極真空手の経験者で、もともとはブルース・リーファンであったものの、その後ブルース・リーの実力については疑問を持っている人でした。上映されたビデオ映像の、キックはともかくサンドバッグ打ちがなかなかすごかったので、友人に感想を求めると「確かにそれは認めざるを得ない」との回答。

イベントに来たからには、ブルース・リーのバックヤード練習ビデオはなんとしても入手したかったのですが、風間先生の技紹介は要らないなあ、ということもあり、出店のスタッフには新作ビデオを勧められたにも関わらず、旧作のビデオを買いました。

このビデオはまだどこかにあるはずなんですが、ブルース・リーのサンドバッグ打ちシーンを繰り返し見過ぎて、そこだけ画質が悪くなってしまった記憶があります。

当時のこのビデオ、版権問題があったとかなかったとか聞いています。その後だいぶ経って、版権を明らかにしたVHSビデオやDVDを購入しましたが、よりいい画質で、より多くのトレーニングシーンが収録されていました。

話はイベント戻りますが、この日のビデオ以上にインパクトがあったのが長江先生と藤原先生の存在です。会場の質問者から長江先生に「ブルース・リーについてどう思いますか?」という質問が飛び、長江先生が困ったように、「いや、私はブルース・リーのことをあまり知らないので」と困惑していた姿が印象に残っています。風間先生はどういうつもりで、ブルース・リーとはゆかりのないゲストを呼んだのでしょう(笑)。

会場からは当然、風間先生への質問もありました。それは、ある映画雑誌に紹介されたもので、一度だけ風間先生がブルース・リーとスパーリングしたというエピソードについての質問でした。

それは「ブルース・リーに『君はボクに触れることもできないだろう』と言われその通りになった。本当に強かった」というような内容で、私もこの記事は所有しています。当時の印象を掘り起こす質問に対して風間先生は「ブルースは変な声出すんですよ。その隙をついて攻撃してくる。強いというよりずるい」というような回答をしていたと思います。雑誌の記事とニュアンスが違うので、会場が若干白けていた印象がありましたね(笑)。

その後、ゲストのサイン会になり、私は出店にあったバインダーを買って、藤原先生の机の前に並びました。ようやく先生の前に立って挨拶したとき、私の声が聞き取れなかったのか、藤原先生が逆に声を掛けてこられました。この先生の声の迫力がすごくて、私は一瞬金縛りにかかったようになったことを今でもハッキリ覚えています。空気がビリビリと震えて、体に電流が走った感じでした。本当にすごい人というのは迫力が全く違う。「気」で相手が固まる、というのは本当かもしれない(笑)。

このバインダーは倉庫のほうに持っていってしまったようなので、書いていただいたサインが見つかったら改めて紹介しようと思います。

まだまだありそうなバックヤード映像

先述のイベントは1980年代後半のことで、私はそのころからブルース・リーのバックヤード映像に馴染んでいたわけですが、今ではYouTube映像のそこかしこで見られるようになりました。それこそ版権とか大丈夫なのかどうか不明ではありますが。

これもそんな動画の一つ。比較的長いですが、多数存在する道場練習映像の一部に過ぎません。それでもこのクリップは見たことがないシーンが多くあり、新鮮でした。0:30くらいからはダン・イノサント先生のサイドキック。ケンポー・カラテの師範代ということもあり、蹴ったあとのバランスがいいですね。

3:00くらいのところからエアーシールドを蹴っている人は、ルイス・デルガドさんでしょうか? 一番上手です。「ドラゴンへの道」でブルース・リーと共演した全米空手チャンピオン、チャック・ノリスにも勝っている人で、明らかにチャックより上手。この人の練習シーンが一番長い。

それにしても、大の大人たちが異様な声を出しながら叫びまくっている中で遊んでいるブルース・リーの幼い子供たちもすごいですね。のちの未亡人の手記で、子供たちの友人たちが家に来るのを怖がるエピソードが披露されていましたが、リアルに分かります。

6:40くらいや8:00くらいではトラッピング練習も見られます。1967-1970年頃の動画ではないかと思いますけれど、裏庭練習ではこのころもトラッピング練習は行われていたようです。ただ、他のこのころの動画を見ても、木人椿のような伝統的な練習シーンは見当たりません。

8:35くらいからは、動画冒頭とは別の日と思われるイノサント先生のバランスがいいサイド・キックが見られます。8:45くらいからはプロバスケット選手のカリーム・アブドゥル・ジャバー選手の練習も始まりますが、身長218cm、体重が120kg近くありそうなので、破壊力抜群でバランスもいい。運動神経がいい。

9:30くらいからは、テッド・ウォン先生と思われる人がヘヴィ・バッグを叩いています。右のパンチは体ごと持っていく感じでかなり強いですが、左はまだ練習が進んでいない感じです。途中1人入って、その人が12:25のところでブルース・リーと交替しますが、他に公開されているビデオではこの辺りはカットされているので、入れ替わるところは多分初めて見ました。ブルース・リー本人の打ち方は、テッド・ウォン先生やその次にバッグを叩いていた人とは明らかに違います。

ただ、このビデオを私の鹿児島の同郷人であるアマチュア・ボクシングチャンピオンに見せると、ボクシングでいう「ドスパンチ(力を入れて押すパンチ=あまり上手ではない)」に見える、と評価していました。ブルース・リーは中国武術を経験しているので、当たった瞬間にさらに胴体(肚)で力を加えていますから、それはある意味正しいかもしれません。

15:15はテッド・ウォン先生でしょうか。まだ、蹴りの形ができていない感じで上手ではなく、その次の人のほうがうまい。16:40くらいからのブルース・リーはさすがに上手で破壊力がダントツ。近距離からのキックは失敗が多いけど。多分、間近で見ると迫力満点ですごいのだと思います。

いやあ。これは面白かった。バックヤードの映像のフルバージョン、出てこないかなあ。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

目次
閉じる