昨日、ガマクについて書きながら思いだした、李載鸞著「福建鶴拳秘要」が見つかったので紹介してみます。
中国/台湾/香港のこの手の書籍は多数所有していますが、この本には特に思い入れがあって倉庫には移さず、手元に置いてありました。買って中を覗いたときに、既視感があり、それが強烈な印象として残ったのです。
この写真なんかは特に、空手に似ているなあ、と思った次第です。歴史的なことを考えると福建鶴拳に空手の方が似ている、といったほうがいいのか。
これなんか、ちょっと拳の位置は低いけど、剛柔流空手道の三戦かと思いました。李先生の立ち方は後ろ足が若干外側に開いていますね。
三進四退、と書いてありますね。やはり、三戦に似た型なのか。
この動作などは、2枚の写真の間を補完すれば剛柔流空手道の「転掌」の途中動作のようにも見えます。
文中を見ると、「三戰」という言葉がそこかしこに出て来ます。内容を読んでみたいのですが、中国語が難しくて読めない…。ブルース・リーの香港雑誌なんかは、中国語でも翻訳できたりしたんですけれども。
写真だけ見ていると、李載鸞先生の動きがゴツゴツしているような印象を受けてしまいがちです。中国の北拳や内家拳を修行される方が、「南拳は力任せ」という印象を持たれるのは、こういった止まった動きを見た印象によるものかもしれません。動く姿を見てみたかったところですが、私の予想では李載鸞先生はたぶんすごく柔らかい動きをされていたのではないかと思います。
詠春拳のスクールに通っていたときに北拳や内家拳の方々とも交流する機会が多々ありましたが、私にはむしろ詠春拳のほうが精緻で力任せの対極にあるように見えました。
陳式太極拳との組手を初めて体験したときは、上下動や激しい体当たりも強くて思ったよりも荒々しい印象を受けましたよ。スクールによく来られていた八極拳の方はかなり体も大きくて、攻撃の勢いもすごかったので、「あの肘で突かれるなんて考えたくもないな」なんて思ったりもしていました。
それに対して詠春拳は上下動もなく、それぞれの動きが小さい印象です。でも、それぞれの動きに小さなコツやサイエンスが詰まっているんです。南拳の多くは決して力任せの武術ではありません。