2021 adidas KARATE GRAND PRIX

2021-08-29は、このイベントをLIVE中継で見ていました。下記、結果に関する記述(ネタバレ)がありますから、今から観戦しようと思っている方は読み進めないことをオススメします。

K1の生みの親でもある石井和義正道会館館長が創始されたFIKA(Federation International Karate-Seido Association)-国際正道 空手連盟が年1回開催している大会だそうです。

正道会館全日本空手道連盟(全空連)に認定団体として加盟していることは最近知りました。フルコンタクト競技で有名だった正道会館が、完全ポイント制で試合を行っている伝統派の全空連とつながるなんて本当に時代も変わったなあ、なんて思ったものです。

この大会では「フルコンPlus」という、ポイントルールフルコンルールの良いとこ取りをしたようなルールでの試合が組み込まれています。

伝統派のポイントルールは、東京オリンピック2020で採用された空手道競技がTVで放送されたこともあり、一般の方にも広く知られたことと思います。

世界トップレベルの選手たちの攻防は非常に高度であり、とにかく速い。そういった攻防を、今の攻撃が実際に打ち込まれていたらどれくらい効いていたか、有効だったか」を瞬時に審判団が想像して判定するわけです。しかし、それを一般観客に求め、委ねるのはほぼ不可能であり、見て楽しむ「格闘競技としての魅力」はやはり希薄だったように感じました。このままだと、一般的に見て楽しむ競技として受け入れられるにはまだまだ時間がかかるかもしれません。これが今後オリンピック競技に返り咲くための障壁にもなりかねないと私は思っています。

そんなこともあって、フルコンPlusのルールには大変興味がありました。

オリンピック競技の技の決まり手をスローで見てみると、届いたか届いていないかのような直突きもポイントになっていました。しかし、フルコンPlusの要点解説動画を見ると、上段突きも中断突きも少なくともクリーンヒットしないとポイントにはならないようです。伝統派のように残心気合いも入れた上で相手の頭が揺れるので、伝統派のノンコンタクト–セミコンタクトと比べてポイントが取れた、取れなかったが分かりやすい感じはしました。もちろん、オリンピックに出場していたような選手たちほどスピードが速くない、ということもあるかとは思いましたが。

でも、あくまでフルコンタクトのルールですから、うまく強打ができれば、突きも蹴りもKO=1本につながる可能性があります。実際、このルールの重量級で優勝した選手は準決勝も決勝も1本で決めました。

このルールは伝統派の選手がかなり有利になるのではないかと思いました。実際、出場されていた伝統派の選手は重量級と思えないほど技が速く、準決勝はポイントを取りまくりで圧勝しました。ただ、スローでは見ていないけど、私はちょっと浅いかな、と思いました。多分突きが速すぎることでまだ審判団の先生方も、どこまでが有効打なのかを判別することが難しいところもあったかもしれません。

決勝でも同様に、ポイントで圧倒していましたから。この流れで伝統派の選手がそのまま勝利するかと思いきや、フルコン系選手のたった一発の直突きをカウンターでもらってしまって、一本負けを喫したのです。この結果も、このフルコンPlusルールが演出する大いなる魅力といえるでしょう。

今回はフルコンタクト系の選手の直突きで勝敗が決まりましたが、前半の動きを見る限りでは、伝統派の選手がもう少し深く当てること、相手にダメージを与えられるような練習をしていたら、早い段階で逆に1本を取れたかもしれません。今後の伝統派の選手が取るべき対策なども見えて来た感じであり、さらに面白くなっていくのではないでしょうか?

この大会では、フルコンPlus以外にも、通常のフルコンタクトルール(手での顔面への加撃を除く直接打撃製)での試合も行われていました。このルールはテレビでよく放送されることもあって、私にとっては見慣れたルールでもあります。ただ、これはこれで、一本=KOとか、はっきりした印象的な技がないとどっちが勝ったか分かりにくい気がしました。あまりにもお互いに手数が多くて、どちらが有効だが多かったかなど、正確には数えられないと思います。なので、審判団による属人的な感想を反映したものになりがちだと感じられました。事実、選手に上がる旗が分かれることも多かったですね。

この点で、伝統派やフルコンPlusのポイントルールは、有効打ごとに試合が止められ、今この技が決まったから1ポイントだよ、2ポイントだよ、今反則したから減点1だよ、というように判定してくれます。これにより、どちらがリードしたのか、互角なのかがハッキリします。この点では一般の観客の側には試合の状態がより分かりやすくなるのではないかと感じられました。

また、この「有効打ごとに止める」というのは、選手の安全管理を考えた上でもいいルールだな、と思います。私も若い頃はボクシングやムエタイなどを観戦すると、相手を徹底的に追い詰めて倒す迫力を求め、それが格闘技の醍醐味だと思っていました。でも、自分に子供ができて育てるという経験をしてしまうと、TV越しに審判に向かって「もう止めてあげて!」と思わず声を上げる方が多くなってきました。

フルコンPlusのルールでは、もちろん一発でダメージを受けることはありますが、直突きオンリーでフックで頭を連打されるようなことはないので、より安全かと思います。また、顔面強打がルールに盛り込まれているわけですから、それをきちんとガードするための練習もするようになることも大きい。私が全空連の試合に出ていたときは、自分も含めた選手達が顔面ガードをしないということにすごくジレンマを感じていました。今はどうかわかりませんが、確実に引き手を取らないとポイントが取れないことがあったからです。

また、直突きオンリー/気合い/残心というルールを採用したことで、キックボクシングと空手をきちんと差別化できて両者の違いを一般の人に広めるのに役立つのではないか、という期待もあります。格闘技に興味がない人まで認知させるのは難しいですけど、キックボクシングとはまた違う「空手」の魅力が今後知られていくことになるかもしれません。

最後に、フルコンルールの試合と見比べて面白かったのは、試合に緩急があったことですかね。お互いに距離を取って戦う時間が入るので、フルコンルールで多く見られる頭を付けたままで延々と打ち合い続けるパターンより飽きずに見られる新鮮さがありました。顔面打撃ルール、しかも当たり方によってはそれが直接ポイントになるという緊張感が演出する試合形態だと思いました。

おそらくこれからも細かいルールは進化して行くのではないかと思いますが、フルコンPlusについて、私は見ていて本当に興味深かったし、伝統派の選手が参入する敷居も低くなって選手層が厚くなっていくのではないかという期待も持てました。

今回はフルコンPlusに着目しましたが、フルコンPlusスポーツというルールもあります。これは直突きによる顔面強打禁止ということで、突き技はほぼ伝統派のルール採用といえますね。ヘッドガードあり、スネガードありですし、参加する側の観点としてあらゆる年齢層の人が楽しめる競技になるのではないかと思います。私も今55歳ですが、ちょっと興味ありますもん。

最後に、石井館長のエネルギーとバイタリティには本当に感動しております。最近、twitterで石井館長のツイートを偶然見かけて、ひとことひとことに感じ入ることが多かったこともあり、フォローをさせていただきました。またそのことがきっかけで、今回の大会やルールの詳細なども知ることができ、今日のLIVE観戦に至ったのでした。

石井館長およびFIKAの、今後ますますのご活躍をお祈りいたします。

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