秘伝截拳道への道

秘伝截拳道への道

空手道部に入部して1年も経つと、だいぶ体力も高まってきているのが分かりました。それでもまだ、部の同級生同士の腕相撲では残念ながら最弱でしたよ。

筋力不足を解決するため、本格的なウエイト・トレーニングを行ってみたい気持ちはありましたが、当時の高校の多くはトレーニング施設を持っていません。

そんなとき、他のスポーツ部員が「アポロ・エクササイザー」という一般向けトレーニング器具を試したところ、垂直跳びの成績が10cm以上伸びた、という話を聞きました。「アポロ・エクササイザー」というと、「リングにかけろ」という当時流行したマンガの登場人物が使っていたもので、同世代の男子には比較的知られていたと思います。

そこでさっそく私は、雑誌の広告に載っていた、フィットネス・アポロ・ジャパン社が輸入した「アポロ・エクササイザー」を購入することにしました(註:この商品はNASAスペーストレーナーという名前で並行輸入もされていたので、どちらを買うかは迷った記憶があります)。

アポロ・エクササイザー
アポロ・エクササイザー(こちらは2012年にアメリカより中古品を輸入したものです)

当時、アイソキネティック・トレーニング理論が新しいトレーニング法として注目されていました。専門的な説明は省きますが、バーベルなどの「ウエイト」とは異なり、加速などがつけられないため、関節可動域全域で常に全力を発揮しながらトレーニング出来るとのこと。

実際に使ってみると、ロープをシリンダーに巻き付ける回数によって調整できる摩擦抵抗と、反対側に紐に加える抵抗で、非常に強い負荷を得ることができることが分かりました。

3ヶ月ほどこの器具でトレーニングしたあとの、高校2年の冬の合宿で、再度同級生に腕相撲を挑むことにしました。そこでなんと、最強の座を獲得することができたのです。

さらに友人が言っていた通り、垂直跳びは90cm近くまで伸び、学年3位内に入りました。体育の走り高跳びの正面跳び、実際には跳び蹴りですが、これも学年トップクラスでした。

20代前半の跳び蹴り
20代前半の跳び蹴り
20代前半の二段蹴りの準備姿勢
20代前半の二段蹴りの準備姿勢

上の写真のうち、横跳び蹴りは助走を2歩ほど使っていると思います。下の写真はその場跳びですね。

20代前半〜30代前半が最も高く飛べた時期だと思いますが、その基礎は高校時代に得たものでした。

中学まで最低レベルの体力しかありませんでしたが、高校時代のトレーニングで、極端に遅かった短距離走も平均より少しだけ良くなりましたし、持久走や踏み台昇降のようなスタミナ指標は学年トップレベルになりました。また、前述の通り、瞬発力の指標となる垂直跳び、敏捷性を評価する反復横跳びもトップレベルです。三段跳びに至っては学年1位となり、速い動きも決して苦手ではないのだ、ということを自覚しました。

こんなこともあって、空手道部のトレーニング、そしてアポロ・エクササイザーには大変感謝しているのです。

もう一つ、このころ特に私に影響を与えた書籍があります。実はアポロ・エクササイザーと同時購入したものでした。

ブルース・リーが著したという「秘伝截拳道への道 (1976年)」です。前に紹介しましたが、「魂の武器」の元ネタとなった”Tao of Jeet Kune Do“の日本語訳に当たります。

TAO OF JEET KUNE DO

秘伝截拳道への道 (1976年)」の高校時代に買ったペーパーバック版は仲の良い友人に譲ってしまいましたが、2冊並べた写真の、右側のハードカバー版はスポーツクラブ時代の先輩にいただいたものです。写真左側はtanomi.comで復活した版で、見た目は高校時代に買った物と似ていますが、中身は現存する本からのコピーと思われ、写真などの画質はかなり劣ります。

秘伝 截拳道への道

Amazonに掲載されている写真を見ると、KKベストブック社も販売していたのですね。後に知ったことですが、この書籍は版権がクリアされていない可能性があるようで、2006年になって、キネマ旬報社から正式な版権を取った書籍が別に出版されています。

截拳道への道 (キネマ旬報社版)

秘伝截拳道への道 (1976年)は高校生の私には大変難解であり、また誤訳も多かったようで必ずしも理解できたわけではなかったのですが、少なくとも「ブルース・リーはなんて頭がいい人なんだ」と思いました。特に哲学の部分は奥が深い感じがして。また、掲載されていた珍しい写真もファンにとっては嬉しいものでしたね。

また、”Tao of Jeet Kune Do“に収録されているボクシングのイラストなどは、ブルース・リー自身が他のボクシングの書籍などから転載したものであり(仙骨神経をひどく痛めていた時期に、メモとしてまとめていたもの)、その点でも著作権をクリアしたりするのは大変だったかも。

この本を入手した当時、私は「寸止めルール」の空手競技を行っていたのですが、ブルース・リー関連の書籍を熟読していると、どうにも矛盾を感じることが多くて、次第に「現実逃避」をしていったように記憶しています。寸止めの組手で勝てるようになっても、仕方がない、みたいな。今思えば、もったいないことをしたような気がします。伝統的な護身術とは別物だったとしても、スポーツとしての技術を極めることは決して悪いことではなかったはずです。

1件のコメント

  1. ピンバック: 三島 – martial arts log

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