小念頭比較

YouTubeを見ていたら、なかなか興味深い動画を投稿されている方がいました。

葉問系詠春拳の始祖である葉問宗師と、弟子達の小念頭を比較している動画です。

私の習った詠春拳は徐尚田師夫の系統と聞いているのでまずはそちらから。

目次

葉問宗師/徐尚田師夫

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こうやって比較してみると、徐尚田師夫の小念頭は葉問宗師の模範と比べてかなり忠実であることが分かります。

徐尚田師夫の伏手には特徴があり、全指を脱力して自然に伸ばしたまま行う感じです。それに対し、葉問宗師は手首を深く織り込み、指も中手基節関節から内側に折っています。

大きく異なるのは、双沈手→双標指までの一連の動きの中で、双攤手(伝承者によっては双托手?)の動きが完全に省かれていること。また、後半の攤手→捫手(※右の部首は間)→攤手の動きの中で、攤手を低い位置から出すようにしていることや、その後の捫手(※右の部首は間)の肘を伸ばさずに戻しているところもちょっと感じが違う。これについては、この次の黄淳梁師夫のところでも触れてみたいと思います。

護手→拍手→護手→鏟手の流れも違いますね。拍手から護手の位置ではなく、肩の位置まで手首を引いてから鏟手を行っています。

葉問宗師/黄淳梁師夫

ブルース・リーの直接の師夫、と言われる黄淳梁師夫の小念頭はかなり忠実に見えます。が、動画を見ても分かるとおり、1箇所、黄淳梁師夫が一つ付け加えたと思われる動作があります。攤手→捫手(※右の部首は間)→攤手の前に、攤手→沈手(?)→攤手の動作が入るのです。

実はこの点について、私の先生から独自の考察を伺ったことがあります。それは、

「詠春拳の練習が進んだ後で力を正しく運用しようとすると、肘を落とすときに背中の筋肉でブレーキがかかってしまうので、捫手(※右の部首は間)が腕を伸ばす動作が少し難しくなる。それを理解している黄淳梁師夫が敢えて、その動きを入れたのでは」

というものでした。

あと、攤手→捫手(※右の部首は間)→攤手→圏手の後の攻撃が、横掌ではなく鏟手(小指側が外に出る手形)のようにも見えます。

護手→拍手→護手→鏟手の流れは徐尚田師父と同じ流れになりますが、その際の手首の角度がちょっと寝ていますね。

さらに、膀手→圏手→底掌の流れで、葉問宗師、徐尚田師父のものと比べると手首の高さが変わりません。

各師夫/私

これを私が習ったものと比べてみます。全体的にはやはり徐尚田師夫のものに近かったですが、細部が違います。

  • 双拂手では一度止めたりせずに開いた反動で戻すように指導されました。
  • 徐尚田師父の小念頭とは異なり、双沈手の後に双攤手が挟まります。
  • 護手→拍手→護手→鏟手の流れは、徐尚田師父同様、拍手から肩の位置まで引いて、そこから鏟手でした。ただし、最初は、葉問宗師が行っているように、護手→拍手→護手→鏟手で習い、後から「実はこれが正しい」というように修正されました
  • 攤手→捫手(※右の部首は間)→攤手→圏手→横掌のところ
    • 攤手を低い位置から出すのではなく、拳を脇に構えた位置からわずかに落として出しています。これはどちらかというと葉問宗師のフォームに近いです。
    • 捫手(※右の部首は間)が肘を真下に落とすような動作で習ったので、黄淳梁師夫が付け加えた部分と徐尚田師夫の捫手(※右の部首は間)との間くらいの動きでした。さらに、肘を落とした反発で攤手に戻すように指導されました。
    • 横掌は腹部ではなく、底掌などと同じ肩の高さへ打ち出すように指導されました。
  • 膀手→圏手→底掌では手首の高さを変えないように注意されました。

ただ、ここまで何度か述べてきましたが、私の先生が私に隠して小念頭の型を伝えている可能性があるので、一つの参考程度にしていただければ、と思います。

他にもいろいろな師夫の小念頭と比較されていますが、やはり葉問宗師、徐尚田師夫、黄淳梁師夫の小念頭が習ったものに近いかな、という気がしました。小念頭の後半は意外なことに、私が習ったものは黄淳梁師父のフォームに近いかな、という印象もあり、これがまた新鮮な驚きでした。

その他の他の比較

その他の方々の比較もあったので出してみます。

葉問宗師/葉準師夫

葉準師夫は葉問宗師のご長男ですが、少し趣が違いますね。葉準師父は以前に動画でも紹介しましたけれども、90代という年齢で、若い人や体の大きな外国人と黐手したりしています。これは本当にすごいこと。

葉問宗師/葉正師夫

葉正師夫は葉問宗師のご次男でいらっしゃいます。同じ師匠に習っても、一代経るだけでずいぶん変わるものだな、ということが分かります。葉準師父同様、葉正師夫も若い人とかなり荒っぽい黐手を行っている動画が残っており、もしかしたら御尊父の葉問宗師も若い頃はすごかったのかなあ…と思いを馳せてしまいました。

葉問宗師/李振藩

我らがブルース・リー先生も。彼も葉問宗師にとっては古い弟子の1人なので、初期の葉問宗師の動きを受け継いでいる可能性があるわけなんですが、ここまでの動画は下半身が映っていません。実は、ブルース・リー先生の場合はこの時期、つま先を十分に内側へ絞っていないように見えるんですよね。その弟子のジェームズ・リー氏も両足を平行にして立っていますし。

リー先生の1960年代後半の写真では多少つま先を内側に絞って立ったように見えるものもありますけど、せいぜい、足の外側が並行くらいのものが多い気がして、ちょっと違和感があります。(アメリカでいろいろな人と戦った経験から、思うところがあって改変したのかな…と想像してみる)

この映像、もっと鮮明なものが残っていないものですかね?

葉問宗師/張卓慶

…詠春拳を習っていたときに、「絶対にマネをするな」と言われていた小念頭です。超絶改変されているように見えるんですが、張卓慶師父ご本人は「これは葉問宗師が私だけに教えてくれた本当の詠春拳の姿だ。」と主張されています。真偽のほどは分かりませんが、超絶達人の徐尚田師父やスパーリングも強い黄淳梁師父の動きを見る限り、張卓慶師父の主張は私個人としては信じがたいです。

張卓慶師父はブルース・リー先生の同級生で、初期はこの方がリー先生に教えていたとも言います。リー先生の小念頭の手首のブレが少しあるように見えるのは、この方の影響を受けているんでしょうか?

でも、もっと改変しているように見える師父もいらっしゃいます。

溫鑑良師父です。この方は黄淳梁師父と共に燃えよドラゴンのセットに訪れた時の写真が残っており、その中にはブルース・リー先生と戯れている写真もあります。溫鑑良師父は黄淳梁師父とブルース・リーのスパーリングも目撃したそうで、黄淳梁師父が「俺が勝っていた」という主張とは逆に「ブルースが圧倒しているように見えた。蹴りで翻弄されて黄淳梁師父の技がめちゃめちゃになっていた」とインタビューでおっしゃっています。私は確か日本語字幕が付いたDVDか何かでこのインタビューを見たと思うのですが、「ブルース・リー伝/マシュー・ポリー」にもこの方のインタビューが掲載されていたと思います。もちろん、この方の主張であり、真実は分かりません。

このスパーリングについては、本人が監修した雑誌に事の詳細を述べているので、一度翻訳してみようかなと思っています。

Sifu Adam WillissさんのYouTubeには他にも小念頭の比較動画が上げられているので、興味がある方はご覧ください。

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