「二時間要馬」って?
これは私が詠春拳を習い始めたとき、先生が冗談でおっしゃっていた言葉です。
「二時間要馬」
つまり、
「二字紺羊馬で二時間立てるようにしなさい」
という意味です。
私が詠春拳を習っていたのは20代前半の頃で、そのころに「二時間」立つ練習をしたのは数えるほどだと思います(私の先生は7時間立つ練習をしたこともあったそうで、ちょっと次元が違いました)。
二時間要馬計画
当時、まだ独り者だった当時とは異なり、今はなかなかそのためだけの時間を取ることができませんし、練習したりしなかったりするよりはコンスタントに練習した方が良いとの考えで、この1年くらいは連続して立つのを25-45分(つまり小念頭+直拳300-500本の時間)に設定しています。
しかし、全く時間がないというのはある意味言い訳かもしれません。さすがに毎日2時間立つのはこの時代「世捨て人」と言われても仕方がないでしょうが、たまには他の練習量を落としてこの鍛錬に向き合ってみることは可能なはずだからです。
ということで、今年中に「二時間要馬」を達成できるように、ときどき長時間の小念頭を加えてみることにします。
手始めに昨日は61分の小念頭 + 直拳500本をやってみました。平日は45分ほど続けることが多いので15分ほど延びただけですが、慣れている時間を超えてくると、全身に、特に下半身に違和感/疲れが出始めるのが分かります。2年ほど前には数回、80分程度の小念頭を試して問題なかったこともあって、おそらく45分も60分も、究極には120分も一緒…と高をくくっていたのですが、ちょっと考えが甘かったかもしれません。
疲れが出やすいひとつの理由として、ここ最近は腰の高さを若干低めにして練習していることが上げられます。感覚的には2-3cmくらいだと思いますが、実際にやってみるとこの違いは大きい。
この試みを行った理由として、内家拳や八極拳の基礎的な鍛錬法である站椿のすごさを感じたところにあります。彼らは私たちの二字紺羊馬より低い姿勢で馬歩を行い、慣れたら30分くらい立てるんだそうです。映画「酔拳」などでジャッキー・チェンさんが四平馬で長時間立つ鍛錬を紹介しているところをみると、もちろん南拳にも同様な腰の高さでの鍛錬はあると思います。
私も高校時代に、立ち方は異なりますが膝と股関節の高さを同じにした「四股立ち」で30分程度は立つことができました。こんなことを考えていると、私ももう少し頑張ってみたくなったのです(「四股立ち」は高校時代の苦い思い出があるので今さらやりたくない…)。
昨日の60分くらいの小念頭は、やっている間にそれほどのきつさは感じませんでした。しかし、終わったあとに膝を折ったりすると股関節の深い部分や大腿部にかなりの疲れがあって、60分でもやはり効くんだな、とちょっとした満足感がありました。
あとは、休日に長時間練習を設けて、毎回時間を延ばしていくだけです。二時間要馬に成功したら、また改めてこのブログで報告させていただくことにします。ただ、低すぎる姿勢で詠春拳の実際の動作に悪い影響が出ないかの確認は必要で、状況によっては一般的な二字紺羊馬の腰の高さでの「二時間」を目指すことになるかもしれません。
小念頭を長時間行う際に気を付けなければいけないこと
慣れている長さなら大丈夫なのですが、それを超えてくると集中力が失われがちです。
また、脚の違和感が痛みとして感じられるようになると、そちらの痛みにより発生する緊張がお腹や上半身までに及んでしまうことがあります。長く立つことを目的としてしまったために上半身の技が崩れてしまうのでは本末転倒といえます。
このような恐れがある場合は、小念頭より二字紺羊馬を単独で練習した方がいいかもしれません。
また、上半身の脱力を高めるために、椅子などに座って上半身だけの練習を加えるのも私には効果的でした。分習法です。この方法の場合、下半身からのフィードバックに毒されることなく、純粋に上半身の筋肉の細かい反応を検知できるからです。実際、二字紺羊馬で立ってやるときと比べ、「腕が自動的に動く感覚」「手と胴体の間に磁力のような障害物を感じる」機会が多くなる気がします。
これらはあくまで補助運動であり、詠春拳の場合は小念頭が基本になることを忘れてはいけません。
片足小念頭
このテーマからは外れますが、長時間立つのとは別に片足で立って小念頭を行う鍛錬法も詠春拳には伝えられています。20代の頃はまだ立ち方も固まっていなかったため、この方法については何回か試した程度でした。
この年になり、また毎日休まず小念頭を繰り返したことで安定感がかなり増していることから、先日片足ずつ5分交替くらいで小念頭を20分ほどやってみました。これはこれで、かなり効果がありそうだと思われましたので、二時間要馬に成功したら、こちらにも改めて取り組んでいこうと思っています。