ここのところずっとショッキングな訃報が続いて、彼らに憧れた日々に思いを寄せることが多くなっていたが、今度は東孝先生が…。知ったときは言葉も出なかった。
このブログにおいて、高校時代の空手道部の練習と併せて、モチベーションを上げるためにいろいろな格闘家の半生に触れた本や技術書を活用してきたことを紹介した。思えば、肝心の東孝先生について触れていなかった気がする。
空手道部での活動が秋に収束することになり、この機会にいろいろな格闘技に関する書籍を読みながら自分の練習に活かすことを考え始めた。そのときに手に入れた書籍の中に「東孝の格闘空手―はみだし空手part2(技術編) (1983年)」がある。
当時、全空連の競技スタイルしか知らず、所属している流派であった剛柔流空手道についても、それを競技に適用する方法についての知識は皆無だった。そんな中で「東孝の格闘空手―はみだし空手part2(技術編) (1983年)」に掲載されている技術紹介はシンプルで分かりやすく、そのまま自分の練習に取り入れていた。「実戦!芦原カラテ―ケンカ十段のスーパーテクニック」は解説される技も多かったし、難しかったので一部を研究・練習させていただいただけだったけれども、「実戦フルコンタクトカラテ―ベニー・ユキーデのマーシャルアーツ 闘いのテクニックとトレーニング (1982年)」とこの「東孝の格闘空手―はみだし空手part2(技術編) (1983年)」についてはほぼ全編に渡って練習させていただいた記憶がある。
「東孝の格闘空手―はみだし空手part2(技術編) (1983年)」については、本立ての奥の方にあって今すぐに取り出せないので記憶によるものではあるが、上半身の技がストレート、フック、アッパーというボクシング用語で紹介されていたような気がする。でも、解説には「ボクシングとは違う」「ボクシングのボディ打ちは威力はあるが、空手でそのまま使うと蹴りの餌食になる。」など、理論的にも「おお、なるほど」と思えることが多かった。
大学で他流派とスパーリングをしたときにも、このときの練習はすごく役立ったと思うし、今でも影響を受けている。でも、アマチュアボクシングの経験者とスパーしたときには膝蹴りを合わせるどころか、マトモに何発もボディ打ちを喰らったけど(笑)。
東先生ご本人との接点は残念ながらなくて、実際に会った人から話を聞くくらいだった。フィットネス・インストラクター仲間にすごくごつい男がいて、彼が何かのパーティでとなりの席に座ったことがあったらしい。「自分なんか比じゃないくらいごつくて、人間離れしている感じだったが、穏やかなしゃべり方だったよ」とのことだった。私も、この定期的に開催される集まりにはよく誘われたが、一度しか行ったことがなく、この会に参加しなかったことを悔いたものだ。
東先生は「空道」という武道の創始者でもあり、門下からは西義典先生や岩崎弥太郎先生、長田賢一先生など数多くの名選手が輩出されている。その格闘技界に与えられた功績は数え切れない。
東先生、本当にお疲れさまでした。